【論風】総合的な競争政策は誰が担うのか デジタル革命にらみ議論を (2/3ページ)

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 そこで競争状態の維持こそが消費者利益と考えるナイーブな世界観で競争政策を展開すると、特に密度の経済性が大きな意味を持つ地域密着型産業、すなわち地域運輸サービスや地域金融などでは、ビジネスを成り立たせる最低限の経済密度を満たせなくなった地域から事業者が撤退してしまう問題が現実化しつつある。

 最近、話題になっている長崎県における地方銀行の合併問題がそれである。ここでは独占によって生じうる不利益(金利上昇、貸し渋りなど)と、地域から金融機関が撤退して地域の消費者や中小企業がナショナル・ミニマムとして享受すべき公共財的な意味での金融サービスを受けられなくなる不利益との間で、いかに適切なバランスを取るかという、まさに「総合的」な競争政策が求められている。

 しかも、いずれの場合も、狭義の競争法、競争政策では手に負えない問題である上に、社会的にも技術的にもさまざまなイノベーションが起き、それがグローバルなうねりとなってあっという間に各国を包み込む時代において、迅速かつ大胆な総合的競争政策対応が問われている。

 “戦略官庁”不在

 私の経験では、このダイナミズムとスピードに対応し、かつグローバルなルール作りをリードして国民経済の利益に結び付ける「戦略官庁」役を担う組織能力は、他の官庁はもちろん、今の公正取引委員会にもあるとは思えない。法を適正、厳正に運用する組織として、公正取引委員会は実にモラルが高く誠実に職務を執行していることを、私は非常に高く評価している。しかし、ここで問われている組織能力はそれとは異次元の戦略的、創造的、能動的、機動的、国際的な能力である。

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