
知財問題を含む対米貿易にかかわる中国商務省=5日、北京(共同)【拡大】
WTO加盟国から批判
「ここは、日本の展示会か?」
2002年。当時、日本貿易振興機構(JETRO)北京センター知財室長を務めていた日高賢治氏は視察に訪れた上海の業務用ミシンの見本市で言葉を失った。見本市に並ぶ数千台のミシンの大半は中国の企業名で展示されていたが「デザインは日本のメーカーの丸写しで、政府も黙認していた」(日高氏)。
だが、その数年後、中国政府は方針転換を行う。中国の事情に詳しい元日本特許庁長官の荒井寿光氏によると、05年ごろから模倣品などを製造する企業の取り締まりを強化。14年には北京などで知財侵害を扱う裁判所が同国で初めて設置され、模倣品を展示する光景は国内でほぼ見られなくなったという。荒井氏は「世界貿易機関(WTO)の加盟国から批判にさらされ、追い詰められた中国は表向き『ニセモノ国家』から決別せざるをえなくなった」と話す。特許権侵害などを扱う米連邦巡回区控訴裁判所の元首席判事、ランドール・レーダー氏も「中国の知財侵害の状況は年々改善している」と評価する。
ただ、元陸上自衛隊システム防護隊隊長の伊東寛氏は「中国は知財分野の優等生ぶりをアピールする一方で、情報を窃取する手口を巧妙化する」と指摘した。(板東和正)