衆院に先立って行われた参院の公選法改正案の審議では、選挙制度改革の会派間協議で指導力を発揮しなかったとして伊達忠一議長の不信任決議案提出も検討したが、IR実施法案の参院審議を見据えてカードを温存した。
立憲民主党などは一時、今月上旬の内閣不信任決議案提出も検討した。西日本豪雨を受け封印したが、最終盤で状況をにらみながら「伝家の宝刀」の機会を見極めることになる。
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IR(統合型リゾート施設)は英語のIntegrated Resortの略。カジノを中心にホテル、劇場、レストラン、見本市を開くコンベンションセンターなどを併せ持つ大規模施設を指す。観光振興を目的に公共政策として導入したシンガポールは2つのIRの整備で約1兆円の民間投資が実現し、消費や雇用が拡大したとされる。
こうした状況を踏まえ、政府はIRを成長戦略の柱に掲げており、安倍首相は6月1日の衆院内閣委員会で「わが国を観光先進国に引き上げる原動力となる」と意義を説明した。
IR実施法案は、IRの設置の上限を当面3カ所とし、最初の区域認定から7年後に見直せるようにする内容。ギャンブル依存症対策としてカジノへの日本人の入場回数を週3回、月10回までに制限し、入場料として6千円徴収する。今国会で成立した場合、最初の開業は2020年代半ばと見込まれ、北海道や大阪府、愛知県、和歌山県、長崎県などで誘致の動きがある。