【中国を読む】社会や消費市場が一気に変貌 「生活の質」向上求め事業機会の増加に期待 (2/3ページ)

サッカーワールドカップの試合を観戦する中国の若者
サッカーワールドカップの試合を観戦する中国の若者【拡大】

 不満解消で急成長

 中国の消費市場は「量の拡大」から「質の向上」に向けて大きく転換している。豊かになった人々は、貧しい時代には手にすることができなかった物を一通り手に入れた。急速に豊かになった人々の貪欲なニーズを迅速かつ的確に満たしたのがスマートフォンを使った各種モバイルインターネットサービスだ。

 ネットショッピングで服や家電を買うのはもちろんのこと、レストランの料理も、スーパーの野菜や果物も、スマホで頼めば30分で自宅に届く。以前は長蛇の列に何時間も並ばなければ入手できなかった鉄道切符や航空券も、切符の購入から座席の選定まで、全てスマホで手軽にできるようになった。家探しや自動車の購入までもがスマホで済ます時代になり、ネットショッピングで余った小銭(小額資産)を、あたかもゲームを楽しむようにスマホ上で運用している。

 中国の消費者は、スマホを通じて、さまざまな物やサービスを享受する中で、自分たちが豊かになったことを実感した。それまでは心の片隅で「不便」や「不満」に思っていたが、「まあ仕方ないか」と諦めかけていたことがさまざまな新興サービスによって次々と改善されていった。

 逆に言えば、以前は、現実の社会に中国の消費者を十分に満足させ得るだけのサービスが欠けていた。そこにスマホを使ったモバイルサービスが現れ、消費者に「心地よさ」を届けることで、中国の社会や消費市場が一気に変貌したわけだ。

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