【高論卓説】現預金への金融資産課税が妙案 絶望的な財政状況打開に活路 (2/2ページ)

経済財政諮問会議で発言する安倍首相(中央)
経済財政諮問会議で発言する安倍首相(中央)【拡大】

 不幸なことに、直後の11年3月に東日本大震災が発生して多額の財政出動が必要になってしまい、政治情勢が影響して消費増税の2段階目の引き上げ(8→10%)が2度も延期され、この目標達成すら困難になったのが現状だ。さらに、増税財源を用いての教育無償化も公約となり、冒頭述べた通り、延期した25年でのPB目標達成も危うい。

 こうした状況下、政府・財務省はどうすべきか。これだけ消費増税が注目されてしまっていて政治問題化してしまった現在、少なくとも10%引き上げ後の追加的消費増税はほぼ不可能であろう。

 私は、家計の現預金に対する金融資産課税に活路を求めるべきだと考える。直近の日銀の資金循環統計によれば、日本の家計の金融資産は1800兆円超で、そのうち半分強が現預金だ。仮に1%の増税をすると9兆~10兆円の税収が見込める。消費税の1%増税は約2.5兆円の税収増なので約4倍の効果だ。

 こうした議論には、海外への資産移転を激増させるとの反論があるが、果たして、現預金へのごくわずかな課税でそうなるであろうか。むしろ、現預金を投資や消費に回す動きが顕在化して、景気を刺激するのではなかろうか。国際的な法人税引き下げ競争下で企業の「取り合い」が起こっている中、法人課税強化はできない。多少は景気を冷やすリスクがあるものの、家計の現預金へのわずかな増税という本施策こそが、絶望的な財政状況に対する最も現実的な回答ではないだろうか。

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【プロフィル】朝比奈一郎

 あさひな・いちろう 青山社中筆頭代表・CEO。東大法卒。ハーバード大学行政大学院修了。1997年通商産業省(現経済産業省)。プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)代表として霞が関改革を提言。経産省退職後、2010年に青山社中を設立し、若手リーダーの育成や国・地域の政策作りに従事。ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授。45歳。