加えて、日本人の出国伸び悩みも九州の課題だ。
法務省の統計によると、福岡空港からの日本人出国者は24年は92万人だったが、29年は88万人に減少した。この間、全国の出国者合計は増加傾向にある。
インバウンドの増加がままならず、アウトバウンドも減れば、旅行業界での九州の存在感は薄れる。
反対にアウトバウンドが安定していれば、海外の政情・経済不安によるインバウンドの激減の影響を小さくできる。
67路線へ拡充計画
来春の民営化後、福岡空港を運営する福岡エアポートHDグループは、アジア発着便を中心に、路線の誘致を掲げる。現在の国際線18路線を、将来的に67路線へと拡充する計画だ。
この計画の達成に、日本人出国者の増加が大きな鍵を握る。
福岡市空港企画課の真子嘉透係長は「搭乗率などの数字が、新規路線誘致の成否を左右する。そこでアウトバウンドを増やす意味がある」と語った。
空港だけでなく、海路でもアウトバウンド増に動く。
福岡市は今年1月、中国・上海のクルーズ船ターミナル運営会社と連携強化の覚書を締結した。
その結果、9月以降年内に7回、博多港発のクルーズツアーが決まった。福岡におけるアウトバウンド需要を調査する。