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これからの高齢化を展望する中で、日本の一つの特長として、高齢者の保有する資産額の大きさがある。個人金融資産、約1700兆円の相当部分を高齢者が保有するとされ、これは、同じように、あるいはより速く高齢化が進行する中国などにはない、高齢化の諸問題解決への緩衝材(バッファー)になるとされる。しかし、これに伴ういくつかの問題も指摘されている。(国際通貨研究所理事長・渡辺博史)
判断能力低下は不可避
まず、100年生存も十分にあるとされる医療の進歩により、生涯を全うするために必要な額が増加することから、資産の取り崩しによる消費はあまり増えないし、新しい技術開発により提供されるさまざまな商品への関心が高齢者は高くないために、新商品への需要が伸びないともされる。次世代、あるいは次々世代への贈与、移転を通じた消費喚起も思ったほどには拡大していない。各世代にある程度均等に保有されている場合に比べて、消費性向は低くなると考えられる。
それとは別に、保有する高齢者の認知度・判断力の低下は、資産の有効な管理を困難にしていく。新規の金融商品を正確に認識できないことによって利回りを意識した効率よい運用が難しくなり、この低金利の中で利子・配当といった果実の増加に向けての判断をする能力を有する者がいなくなる。