
中国旗と米国旗=16日、北京(AP)【拡大】
一方、日銀も貿易摩擦の影響を注視する。黒田東彦総裁は今月19日の記者会見で「当事国だけでなく供給網を通じて世界経済全体に影響が及ぶ可能性がある」と述べ、警戒感を隠さなかった。悪影響が企業の設備投資や家計の消費行動にまで拡大すれば、大規模金融緩和を手じまいする「出口戦略」どころではなくなる。
日銀は7月、緩和長期化による市場機能の低下といった副作用を軽減するため、長期金利の変動幅拡大など政策修正を行った。物価の伸び悩みを踏まえ、2%の物価上昇目標実現まで時間を稼ぐ狙いがある。
ただ、目標達成前に景気減速が始まれば緩和策の縮小は難しい。政策修正に反対した日銀の片岡剛士審議委員は、通商問題などによる景気の下振れリスクを踏まえ、「必要なのはむしろ追加緩和だ」と主張する。貿易摩擦の激化は、日銀内の亀裂も誘発しそうだ。(山口暢彦、田辺裕晶)