25日に開かれた日米とEUの貿易大臣会合は、不公正な貿易を続ける中国を念頭にWTO改革に向けて共同提案することで合意し、「中国包囲網」を形成することで一致した。ただ、トランプ米政権は自動車に高関税を課す輸入制限を検討するなど、保護主義的な姿勢を強める。対中国では米国と共同歩調を取りつつ、日欧は来年にも経済連携協定(EPA)を発効させ、強硬なトランプ政権に対抗したい考えだ。
貿易摩擦を回避
会合後の記者会見で、世耕弘成経済産業相は「米国が一番関心を持っている対中国に対して、日本がしっかり協力していく姿勢をみせることが重要だ」と述べた。そもそも米国の強硬姿勢は、知的財産権の侵害といった中国の不公正な貿易が発端だ。世耕氏は対中国で米国に配慮し、経済規模で世界1位と2位による貿易摩擦を回避したいとの考えをにじませた。
ただ、トランプ大統領は中国に制裁関税を発動する一方、貿易赤字を削減するため、同盟国にも鉄鋼の輸入制限といった貿易制限的な措置を発動させてきた。さらに自動車輸入制限の発動もちらつかせ、対中国で共闘する日欧にも通商交渉で譲歩を迫っている。