景気下支えへ棚上げ
こうした状況下、政府主導のインフラ投資で景気を下支えする必要性が高まったといえよう。習近平国家主席は7月31日の政治局会議で「6つの安定」を求めた。雇用、金融、貿易、対中投資、固定資産投資、成長期待という6つの分野における安定だ。習政権はさまざまな分野で権力を集中してきたとはいえ、安定的な経済成長を維持できなければ、政権運営が行き詰まりかねない。
そこで、政府はデレバレッジ政策を一旦棚上げすることにした。真っ先に着手したのが金融緩和だ。中国人民銀行は、4月と6月に続き10月も預金準備率を引き下げたほか、短期金利を低めへ誘導し始めた。
7月の国務院常務会議では、1.35兆元の地方債の発行を承認したほか、地方政府に対して余剰資金の活用、金融機関に対して地方融資平台の合理的な資金需要に応えるよう要求した。さらに、金融監督当局は金融機関の貸出額および簿外取引の金額の上限を引き上げた。
今後、これらの施策の効果が顕在化することで、社会融資総量のうち人民元貸し出し以外の資金調達の伸びが底入れし、インフラ投資も緩やかに持ち直すとみられる。
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【プロフィル】関辰一
せき・しんいち 2006年早大大学院経済学研究科修士課程修了。08年日本総合研究所入社、15年から調査部副主任研究員。拓殖大学博士(国際開発)。専門分野は中国経済。著書に「中国経済成長の罠」。37歳。中国上海出身。