【高論卓説】製造強国への転換目指す中国 ハイテク覇権握る米国、日本抱き込み阻止 (2/2ページ)

 そして、ついに米国政府は伝家の宝刀を抜いたのであった。10月29日、米商務省は、JHICCを米国の製品やソフト、技術の輸出を制限する「エンティティーリスト」に加えた。このリストに掲載された場合、米国政府からの輸出許可を取得しない限り輸出が停止される。また、技術の利用なども制限を受けることになる。

 半導体は米国企業の生産機械や技術がない限り、生産ラインを構築することはほぼ不可能なため、JHICCは操業できない状態になった。また、今後、UMCに対しても何らかの制裁が加えられる可能性もあり、イノテックから人材と技術を奪ったRuiLiにも同様の処置が取られる可能性がある。

 既に米中の貿易戦争は、単なる貿易赤字の問題ではない。世界における米国の覇権を維持するための戦争に移っており、政府だけでなく、企業に対しても米国を選ぶのか中国を選ぶのか選択を迫る段階に入っている。

 9月の日米共同声明でも「日米両国は、第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。したがってわれわれは、世界貿易機関(WTO)改革、電子商取引の議論を促進するとともに、知的財産の収奪、強制的技術移転、貿易歪曲(わいきょく)的な産業補助金、国有企業によって創り出される歪曲化および過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米、また日米欧3極の協力を通じて、緊密に作業していく」との文言が入れられた。

 これを破った場合、日本企業に対しても中国同様に関税をかけていくとした。今回の場合は、あくまでも中国企業と台湾、米国政府の問題ではあるが、これは他山の石ではなく、日本企業にも同様の処置が取られる可能性を示唆したものである。

                   

 【プロフィル】渡辺哲也

 わたなべ・てつや 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は『突き破る日本経済』など多数。愛知県出身。