「最大のハードルとなったのはインドだ」。12日の閣僚会合で妥結できなかった要因について、政府関係者はこう打ち明ける。インドは関税撤廃により中国からの製品流入が増えることに警戒感を強める。インド商工省のデータによると、2017年度の対中貿易赤字は約630億ドル(約7兆1000億円)。結局、関税を撤廃する品目を少なくしたいインドと、各国は折り合えなかった。
ルール作りの分野も対立している。電子商取引では日本やオーストラリアなどが自由な流通を求める一方、中国は国家がデータ管理すべきと主張する。
RCEPが実現すれば、世界の人口の約半数、国内総生産(GDP)の3割を占める巨大な経済圏が誕生する。ただ、自由化の水準が低ければ、その効果は限定的となる。一定の水準を保ちながら、いかに早期妥結に持ち込めるのか、各国首脳のリーダーシップが問われている。(大柳聡庸)