RCEP首脳会合 早期妥結急ぐも米が壁に 交渉長期化の懸念も (1/2ページ)


【拡大】

 14日にシンガポールで開かれた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の首脳会合は、来年の妥結を目指すことで一致したが、先行きには暗雲が漂う。米国が来年から始まる日本との通商交渉で事実上、中国との自由貿易協定(FTA)締結を阻止する条項を求める可能性があり、中国を含むRCEP交渉の足かせとなる。選挙などで参加国の内向き志向が強まれば、最終合意は遠のきかねない。

 日中韓やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国による東アジア地域包括的経済連携の首脳会合が14日、シンガポールで開かれ、来年の妥結を目指す方針を確認した。会合後に公表した共同声明で「今年の交渉の実質的な進展を歓迎」との文言を盛り込んだ。年内の実質的な妥結を目指し協議してきたが、関税撤廃や知的財産権保護などのルール作りで参加国の隔たりが埋まらなかった。

 「中国は交渉をまとめようという気持ちが高まっているな」。RCEP首脳会合に出席した日本政府の高官の感想だ。通商筋によると12日に開かれた閣僚会合でも、妥結には至らなかったが、中国は関税分野などで、これまでの強硬な姿勢が和らいだという。

 早期妥結を目指すのは、トランプ米政権の保護主義的な姿勢への危機感からだ。とくに米国との貿易摩擦が激化している中国の李克強首相は13日のシンガポールでの演説で「来年に(RCEP)交渉を終わらせたい」と強調した。

 だが、強硬姿勢を強める米国が9月までにカナダ、メキシコと合意した北米自由貿易協定(NAFTA)の新協定では、中国を念頭に非市場経済国とのFTA締結を阻止する条項が盛り込まれた。日本は来年1月以降に始まる米国との通商交渉で「米側は同様の条項を迫ってくる」(政府関係者)とみており、対米関係上、RCEP交渉が難しくなる可能性がある。

「来年の選挙まで妥結を待ってほしい」