RCEP首脳会合 早期妥結急ぐも米が壁に 交渉長期化の懸念も (2/2ページ)


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 「来年の選挙まで妥結を待ってほしい」。対中貿易赤字に悩むインドの政府高官は12日の閣僚会合の席上、こう訴えた。インドでは来年5月にも総選挙が行われる。広範囲な関税撤廃を受け入れれば中国からの製品流入が増え、選挙で逆風となりかねない。

 ただ、来年は各国で選挙が相次ぐ。来年4月にはインドネシアで大統領選が控え、日本も来年夏に参院選挙を予定する。選挙を意識し各国が自国産業の保護を優先させれば、譲歩する余地がなくなり、交渉が一段と難航する恐れがある。

 RCEPは2013年に交渉を開始し、15年と16年も年内合意を目指して、頓挫した経緯がある。米国の保護主義的な姿勢を背景に妥結のムードが高まった今年も結論を先送りしたことで、交渉がさらに長期化する懸念がでてきた。(シンガポール 大柳聡庸)