大手スーパーが大学や企業とコラボ 世界初、オランダ「美味しい廃棄物」プロジェクト (2/3ページ)

「ピーパービール」は一本飲むごとに廃棄予定のジャガイモ2個を「救済」できる。仕方ない、飲もう(『美味しい廃棄物プロジェクト』公式HPより)
「ピーパービール」は一本飲むごとに廃棄予定のジャガイモ2個を「救済」できる。仕方ない、飲もう(『美味しい廃棄物プロジェクト』公式HPより)【拡大】

  • ラ・マンナ氏。繰り返すが「シェフ」である。しかも「もったいない系」の(公式HPより)

 ▼「世界初の廃棄食材から作られた食品コーナー」

 そんな中、オランダでは今年3月、首都アムステルダムで話題になった「世界初のプラスチックフリースーパー」と時期を前後して、オランダ2番手の大手スーパーチェーンJUMBO(ユンボ)がオランダ中央部に位置するワーゲニンゲンの支店で「世界初の廃棄(されるべき)食材から作られた食品コーナー」をテスト始動していた。

 スーパーの店頭に並べることができない曲がった野菜から作ったスープやペースト、傷もののリンゴから作ったアップルサイダー、廃棄されたパンや不揃いなじゃがいもから醸造したビール、オレンジの皮から作ったせっけんなど、「廃棄されてしまうことが決まっている食材」を使って製造した商品のみを並べたこのコーナー。概ね確立したブランド品よりも高価格にもかかわらず、初週には通常のオーガニック食品の倍にあたる700アイテムを売り上げた。

 ▼国家レベルのプロジェクト

 この企画は、同店の有名店長(当時)が地元ワーゲニンゲン大学でフードロス問題の研究をしている教授の講演を聞いたことをきっかけに、市や国内企業18社も巻き込んで立ち上げた「美味しい廃棄物プロジェクト」がベースとなっている。EUの掲げる「2030年までに食品ロスを現在の半分にする」という目標に向けたオランダ政府による「食品ロス撲滅のための連携プロジェクト」の一環だ。食品ロスを減らすためのすぐれた研究やアイデアを表彰するコンテストなども政府主導で行っている。フランスがスーパーマーケットが売れ残り食品を廃棄することを禁止する先進的な法律を施行し、スペインでは貧困者への食糧援助も兼ねた「連帯冷蔵庫」が街中に設置される一方、オランダはお家芸のイノベーションとビジネスでこの「食品ロス半減レース」に挑む格好だ。

一介の主婦の立場で思うこと