大手スーパーが大学や企業とコラボ 世界初、オランダ「美味しい廃棄物」プロジェクト (3/3ページ)

「ピーパービール」は一本飲むごとに廃棄予定のジャガイモ2個を「救済」できる。仕方ない、飲もう(『美味しい廃棄物プロジェクト』公式HPより)
「ピーパービール」は一本飲むごとに廃棄予定のジャガイモ2個を「救済」できる。仕方ない、飲もう(『美味しい廃棄物プロジェクト』公式HPより)【拡大】

  • ラ・マンナ氏。繰り返すが「シェフ」である。しかも「もったいない系」の(公式HPより)

 ▼主婦としての感想は「うまい」

 一介の主婦の立場で正直思うのは「加工品とはうまいことを考えたな」である。カビたパンやオレンジの皮などはもちろん素人には利用のしようがないし、安くて環境にやさしい「規格外」の野菜の唯一の欠点は処理が面倒なことだ。小さな玉ねぎは一個一個剥いていると気が遠くなるし、曲がったイモはへこんだ部分が洗いにくい。それから強いて言えば店頭でおいしそうに見えない。それらの問題も、すでに加工してあればすべて解決だ。また、年間600万トン以上の食品が廃棄されていると言われる日本で、フードシェアリングなど食品ロスへの対策が打ち出されるたびに問題になる「衛生問題」も、食品会社で加工してある時点でクリアだろう。

 ▼食品コーナー、その後

 今回記事を書くにあたって店舗に問い合わせてみたところ、「美味しい廃棄物プロジェクト」を主導した3月当時の店長は、「食とショッピングが素晴らしい化学反応を起こすような」自身のスーパーマーケット事業に従事するためにユンボを辞職していた。代わって質問に答えてくれた現在の副店長によると、「廃棄食材から作られた食品コーナー」の売上はその後も上々で、半年間のテスト設置の予定を急遽変更して常設が決まったとのことだった。「少し割高ですが、それでもお客さんが買ってくれてよかったです。その支払われた代金が、また食品会社が廃棄食材を丁寧に加工しておいしいものを作る資金になるのですから」と。

 食品会社が、自宅のキッチンに代わって廃棄予定の食材をレスキューし、食べやすい形に加工してくれる手間に少し余分の代金を払うというコンセプトの「美味しい廃棄物コーナー」。こんなタイプの「食べて応援」も広がってほしいと思う。(ステレンフェルト幸子/5時から作家塾(R)

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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