新時代・第1部 日本はどこへ向かうのか

(3)農業存続へ「攻める」 TPP発効で競争激化。外国人材が生産現場を守る (1/2ページ)

 自由貿易の枠組み作りに際し、国内で「聖域死守」のかけ声が飛んだのは、つい数年前のことだ。国民の「食」を大義に掲げてきたものの、日本の農林水産業は自らの手だけでは存続できない。おのずと食料安全保障という語にも違和感が漂う。そうした状況に突入した現場では、生き残りをかけた変化が生じている。 

 食料自給率(カロリーベース)は40%前後で推移し、先進国中で最低水準にある。国が掲げる「6年後に45%」という目標の実現は不透明である。

 昨年暮れの30日、日本の食料生産現場は、新たな局面を迎えた。日本など11カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効したのだ。

 農林水産物を含めた関税の撤廃・引き下げでモノ、カネの流れの活発化が予想される一方、安価な外国製品との競合はより厳しくなる。そこに担い手の減少と高齢化が重くのしかかる。こうした中、期待を向けられているのが外国人材だ。

 「たまご村直売」「朝採りたまご」と大書された、ひときわ目立つ看板に誘われ、次々と車が集まってくる。

 京都府城陽市にある京都養鶏生産組合の直売所。店頭には卵や新鮮な鶏肉が並び、午前10時の開店直後から地元住民らが足を運ぶ。

 代表理事の西田敏さん(49)が約30年前に直売所を開こうとした際、父親は「農家は売らんでいい。売ってもらえばいい」と強く反対したという。

 農家は生産に集中し、販売は人に任せればいいとの考え方だ。だが、平成時代をはさみ、生産現場を取り巻く環境は様変わりした。

 戦後の復興を支えてきた食料自給率は、平成2年度に48%だったのが、29年度には38%と大幅な落ち込みを見せている。

 鶏卵は29年度でも96%(重量ベース)を維持しているが、同組合では「生き残るためには地域密着」と考え、20年ほど前から純国産の鶏に国産の飼料を与えて産ませたブランド卵「京たまご」を売り出した。うまみが評価され、飲食店でも使われる主力製品に育った。

 ブランドは軌道に乗ったものの、人手不足の悩みは続いた。従業員の多くは西田さんの父親の代から働く人たちで、高齢化が進む。求人募集をかけても人材は集まらない。活路を見いだしたのが外国人だった。

                    

 昨年11月下旬。朝の寒気が残る中、ベルトコンベヤーから流れてくる卵を、外国人技能実習生の女性たちが手早く検品していた。組合では現在、カンボジアから6人を受け入れている。

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