新時代・第1部 日本はどこへ向かうのか

(3)農業存続へ「攻める」 TPP発効で競争激化。外国人材が生産現場を守る (2/2ページ)

 西田さんが自ら現地を訪れて面接し、やる気があるか、集中力があるか、手先が器用か-で選考した。

 5年にできた外国人技能実習制度は「実習生」として外国人を受け入れ、働きながら習得した技術を母国の経済発展に生かしてもらうことが目的だ。

 ただ、鶏の管理方法などを教えても、カンボジアには大規模養鶏場がない。帰国して技術を生かすには、まず養鶏場が整備されなければならない。

 来日して2年目のゴイ・ダヴィさん(22)は「帰国したら日本語の先生になりたい」と話す。

 西田さんは「彼女たちもお金を稼ぐことが目的になっている」ことを認める。人手が足りない生産現場と、収入を求める外国人実習生。制度の趣旨から外れた場所で、双方の利害は一致している。

 生産現場は、外国人の労働力がないと回らない。西田さんは「労働者として処遇すべきだ」と制度への違和感も口にする。

                     

 「このままじゃ、日本で生産したものが食べられなくなる。そのぐらい、人手不足は深刻だ」

 茨城県鉾田市でイチゴを栽培する「村田農園」代表の村田和寿さん(49)は、昨年12月に成立した改正出入国管理法に期待を寄せる。「労働者」としての外国人受け入れ拡大だ。

 11月下旬から翌年5月にかけての収穫期には、インドネシア人実習生5人が日本人とともに収穫や出荷に追われる。「日本の農業を守るには、外国人に頼るしかない」という。

 TPP発効による競争激化は避けられない。これを日本産農作物を海外へ売り込む「攻めの農業」への転換点にできるか。

 村田農園ではイチゴの大きさや色など、顧客のニーズに細かに応え、ブランディングに力を入れる。有名青果店やホテルでも扱われるブランドに成長した。

 「自分がかっこいい農業をすれば、農業をやりたい人が増えるはず」と、農業の担い手の裾野を広げるため、環境整備や作業の効率化に取り組んだ。最近では、千葉県や神奈川県から日本人の若者が栽培を学びに「弟子入り」する。

 「お金だけじゃない。プライドをもって農業をしていきたい」。それが未来の担い手たちにつながると信じている。

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