【経済インサイド】チリ産ワイン、絶好調も今後は…待ち構える「大きな逆境」 (2/3ページ)

メルシャンが発売するチリ産ワインの新商品
メルシャンが発売するチリ産ワインの新商品【拡大】

 2007年は8.8%にとどまっていた輸入ワインに占めるチリ産のシェアは、2017年には31.0%と大きく拡大した。「ボージョレ・ヌーボー」などの人気で長らく首位だったフランス産を3年連続で上回り、今ではチリ産ワインは日本中のスーパーやコンビニで買えるなじみの存在となった。

 酒税法改正が逆風に

 だが、そんな好調ぶりが踊り場にさしかかろうとしている。4月にはチリ産ワインの関税が撤廃されるが、これに先立つ今月には日本と欧州連合(EU)のEPAが発効され、フランスやイタリア産のワインにかかる関税は即時撤廃される。それに合わせ国内の酒類各社が今月以降に相次いで欧州産ワインを値下げする予定だ。「チリ産ワインに押され気味だった欧州産ワインの輸入拡大に確実につながる」(洋酒輸入関係者)との見方が強い。

 関税がなくなっても、10月に消費税率が8%から10%に引き上げられる予定だ。食料品などは8%に据え置く軽減税率が適用されるが、嗜好(しこう)品である酒類は対象外となっている。

 さらに酒税法の改正によって2020年10月から26年10月にかけてワインは720ミリリットル1本当たり14円増税される。業界内では、2003年に行われた1本当たり10円の増税をきっかけに数年間、ワイン市場の前年割れが続いた苦い記憶がある。「わずかな増税額ではあるが、チリ産など安価なワインを好む消費者にとっては敬遠される原因になりかねない」(都内酒店)。

懸念を強める背景