日本橋、京橋界隈(かいわい)で引っ越しを繰り返し、明治29(1896)年に馬場先門外の一角、当時「三菱が原」と呼ばれた千代田区丸の内3丁目で東商ビルが着工。3年かけて、「赤煉瓦(れんが)さん」と親しまれたルネサンス式の赤煉瓦ビルが完成した。耐震構造で関東大震災でも損傷はなかったが、昭和20年3月に焼夷(しょうい)弾の直撃を受けて内部を全焼したという。
4代目になる現在の東商ビルは、創立140周年を記念し、赤煉瓦さんと同じ東京都千代田区丸の内3丁目のお堀沿いに完成。1階には初代会頭である渋沢氏の銅像が飾られ、渋沢氏と東商の歩みを紹介する企画展「受け継がれる渋沢栄一の精神」が3月末までの予定で開催中(日曜祝日は休館)。第21代会頭の三村氏が執務を行う会頭室からは、初代東商ビルと同様、お堀の先に、美しい皇居の緑と馬場先門を望むことができる。
論語と算盤
渋沢氏の思想を伝える著書に、論語と算盤(そろばん)がある。三村会頭はよく、現代社会や経済、企業経営に通じる、あるいは現代に欠けている渋沢氏の思想について口にする。「渋沢氏は、民間企業ががんばらないと国は発展しないということを身をもって実践した。論語と算盤にあるように、企業が利益を出すのは当たり前、公益を考えて社会にも貢献しなければいけない。私的な利益と公益とは必ず高次元で一致するものなんだと言っている」と、力を込める。
一流企業の経営トップの逮捕や品質データの改竄(かいざん)、検査不正など相次ぐ不祥事が、日本経済を支えてきたモノづくりの信頼を揺るがしている。厚労省の基幹統計の不適切調査は、経済政策効果への影響も心配される。