その際に重要なのは、欧州とともに米国に連携を促すことだ。来日したドイツのメルケル首相は中国の覇権主義的な動きに懸念を示したが、もともと欧州では、トランプ政権発足前から中国への警戒感が強まりつつあった。
だが、トランプ政権後に米欧関係が悪化し、日米欧の連携機運は一気にしぼんだ。対中共闘を図ろうと、一昨年暮れに日本の呼びかけで始まった日米欧の三極貿易大臣会合も、当初は結束どころか米欧の亀裂ばかりが際立った。
そんな最悪の状況も昨年後半以降は幾分変化したようである。米国の主たる標的が中国に絞られてきたほか、米国が日欧の自動車に対する高関税発動をいったん見送ったのも大きい。最近は三極会合などの場で、新たなルール作りの議論が活発化している。
米国には世界貿易機関(WTO)体制が中国の不当な振る舞いを効果的に抑えていないとの不満がある。デジタル分野など新たな課題も多く、WTOは時代遅れだという米国の問題意識は正しい。
だからといって米国がWTOに完全に背を向けているわけではなく、むしろ改革には前向きである。昨年末の20カ国・地域(G20)首脳会議の首脳宣言に「WTO改革を支持」と記されたのも米国の意向の反映だ。中国の動きを封じることが眼目である。
例えば三極会合で議論されている問題の一つに、中国が国有企業などに出す過剰な補助金がある。補助金を受けた企業が安値で輸出攻勢をかけて世界の鉄鋼業界が打撃を受けたこともあった。米中協議でも米国が批判している。