人口減少を背景に中山間地の鳥獣被害が深刻化する中、イノシシやシカなどの野生鳥獣を食品として売り出す「ジビエ事業」に国が本腰を入れ始めた。全国でモデル地区を選定し、ジビエの安定供給を後押しする。だが、消費拡大には割高に受け止められている価格や、認知度不足といった課題も立ちはだかる。
農林水産省のジビエ利用の「モデル地区」に選ばれた宮崎県延岡地区にあるジビエ販売、マツダコーポレーション(同県延岡市)は処理加工施設を完成させ、2018年11月に記念式典を開いた。同社の松田秀人社長(69)は「頭に描いていた通りの施設ができた」と自信を見せた。
総事業費の半分近くを国の補助金で賄った施設は解体から食肉処理、調理まで可能。別棟には薫製室もあり、19年度はイノシシとシカ計1000頭の加工処理を目指す。
農水省は18年3月、高い衛生基準でジビエを加工処理する全国17地区をモデル地区に選定。ジビエをビジネスとして軌道に乗せ、鳥獣による農作物への被害を減らすのが狙いだ。同省によると、16年度に全国で捕獲されたシカとイノシシは計約120万頭で、被害額は100億円を超える。
対策として国は補助金支給などで後押しし、処理加工施設の数は全国で増加している。ただ、捕獲量に占めるジビエの割合は1割に満たない。