ミャンマー農村へ金融知識 女性の生活改善 日本人が冊子発行 (1/2ページ)

ミャンマーのコームー村で、配布された冊子「マンゴー」を読む女性たち=2018年10月(共同)
ミャンマーのコームー村で、配布された冊子「マンゴー」を読む女性たち=2018年10月(共同)【拡大】

 日本人起業家がミャンマーで農村女性向けに金融知識の普及に努めている。ミャンマーは低所得者層に小口の貸し付けを行うマイクロファイナンスの拡大に伴い、多重債務問題も深刻化。情報量の乏しい農村で暮らす女性のために暮らしや金融の情報を盛り込んだ冊子を発行、生活改善の意欲を持ってもらうのが目的だ。

 ミャンマー政府は2012年に民間マイクロファイナンス事業者の国内市場参入を認め、国内外の約180社が営業している。ローンの仕組みも知らない相手に無理な融資をする事業者もあり、社会問題となっている。

 無担保や連帯保証による融資が主流で、1回の貸付額は10万チャット(約7000円)から100万チャットまで。関係者によると、表面上の返済率は9割以上だが、連帯保証人となった仲間による肩代わりが後を絶たず、身分証明書を質入れして返済金を捻出する人もいるほどだ。

 冊子「マンゴー」を発行するのは、ミャンマー国内7支店を展開するマイクロファイナンス会社、MJIエンタープライズの加藤侑子代表=京都市出身=ら3人。隔月で4万部を最大都市ヤンゴンや中部バゴー地域などで無料配布する。

 ミャンマーには新聞や雑誌が届かず、情報源がラジオのみという世帯も少なくない。加藤さんは発行前の調査で「借り手となる女性が想像以上に情報から隔絶されていることに衝撃を受けた」という。冊子は返済計画といった金融知識に加え、融資で収入増や子供の進学を実現した人の成功体験、料理のレシピなど女性が興味を持てるよう工夫を凝らしている。

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