経済を知る

消費税10%で自滅の恐れ 増税の「空気」を吹き飛ばせ (3/3ページ)

田村秀男

 家計消費に「正味」と付けたのは、国内総生産(GDP)統計上の「家計最終消費支出」が消費税の影響を正確に反映していないからだ。同支出はマイホームを持つ家計が家賃を自らに支払っていると仮定し、みなし家賃(「持ち家の帰属家賃」)を合算している。みなし家賃はナマの消費とはいえない。GDP2次速報によれば、30年(暦年)の「家計最終消費支出」297兆円のうち帰属家賃は50兆円にも上る。

 あぜんとさせられるのは正味家計消費は9年度、26年度の増税後、ともに強烈な下押し圧力を受けている。増税分の支払いを除くと、正味家計消費は8年度の水準に比べ水面下に沈んだままだ。8年度に比べ、30年度、消費税収は14.7兆円増え、正味家計消費は7.8兆円増える見込みだが、増税分の負担を考慮すれば正味家計消費は同6.8兆円も少ない。家計は22年前に比べ100円消費を増やしたとして、200円近い消費税を多く支払う計算になる。

 この間2度、消費が水面上に浮上する勢いが出たが、19年度はリーマン・ショックで押しつぶされた。26年度は税率8%への引き上げ実施とともに急激に落ち込み、アベノミクス効果は吹き飛んだ。リーマンという外部からのショックではない。消費税という人為による災厄である。

 最近はようやく家計消費が持ち直したというのに、今秋に増税リスクをまたもや冒そうとするのは無謀としか言いようがないではないか。

 税率10%というかつてない重税感という別の「空気」が家計を追い込む。脱デフレ、日本経済再生の道は閉ざされる。安倍政権は中国や米国景気など外需動向に構わず、増税中止を決断すべきなのだ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus