農林水産省が、国内で開発された農産物の新品種保護の強化に向けて、種苗法を改正する検討に入ったことが25日、分かった。新品種の海外流出が問題になっているためで、農産物の輸出を阻害する事態に歯止めを掛ける狙い。農水省は検討会の議論を踏まえて法改正の作業に入る。早ければ来年の通常国会での法案提出を目指す。
日本では、農産物を品種登録すると種苗法で登録者(育成者)の販売権が25年(果物は30年)保護される。ただ、種苗の海外流出を食い止める規制が不備で近年、優良な品種が流出する事態を招いていた。
例えば、日本で開発されたブドウの一種で、皮ごと食べられるシャインマスカットは苗木が持ち出され、中国や韓国で栽培されて一部は東南アジアに輸出されている。
一方、中国、韓国では日本で売り出されてから4年(果物は6年)以内に登録しなければ販売権が認められない。日本の登録者は海外での登録の必要性に気付かず、登録期間が過ぎて無断栽培や販売の差し止めが難しくなっているケースが多い。
農水省は、こうした事例を繰り返さないよう、種苗法で種苗の持ち出しを実効性のある形で禁じる方向で検討。保護期間の延長も想定する。併せて、海外での品種登録を支援する事業も強化する方針だ。
出願費用の半額以上を補助したり、弁護士への相談を後押ししたりするなど「法整備と両面で品種保護を進める」(農水省幹部)。