保護主義的と批判も
ただ、国がどこまでこうした産業政策を主導するかをめぐっては議論もある。特に伝統的に国家の関与が強いフランスと異なり、不平等の是正のため一定の制限を加えながらも、市場原理による自由競争を重視してきたドイツでは異論も強い。
アルトマイヤー氏は仏独によるEUへの共同提案に先立ち、独自の国家産業戦略を発表。外資による独企業買収を場合によって阻止する措置を盛り込んだほか、大企業を重視し、合併などを支援する必要も強調した。だが、中小企業からは「計画経済のようで保護主義的だ」との批判も上がる。
ドイツ経済研究所(DIW)のフラツシャー所長は独国内の投資不足の問題を指摘した上、「投資が少ないのは部分的に競争が少ないため」と指摘。国が主導して巨大企業をつくれば、逆に競争が阻害されるとの懸念を示す。英紙フィナンシャル・タイムズも重要なのは「量より質」とし、EV用電池など先端技術への投資を歓迎する一方、規模拡大を目指す合併は「企業の能力を弱める」と指摘している。(ベルリン 宮下日出男)