高論卓説

マーケットの鵺になった日銀 ETF残高が膨張、リスクも危険水域 (2/2ページ)

 市場関係者の日銀評も変わった。日銀がETFを買い始めたのは10年12月。当時の日経平均は1万円を下回っていた。買い増しを続け、日経平均がバブル崩壊後の戻り高値2万4200円台を付けた18年10月までは「日銀のETF買いは相場の救世主。底割れを防ぎ、下値を押し上げた」と褒めそやされた。しかし、相場が膠着(こうちゃく)し、東証1部の1日当たり売買代金が2兆円に満たない薄商いが続く最近は手のひら返しでウラミ節をぶつける向きが増えた。「日銀のETF買いは下値整理の進行を阻害し、市場から自律性とダイナミズムを奪っている」「外国人投資家は日銀の実質保有比率が高い銘柄を嫌う」といった声を聞く。

 日銀のETF買いは膨らめば膨らむほど、浮動株の吸収を通じて株価形成のゆがみを大きくする。日銀の担当者も後始末の苦労が増す。中長期の投資家は「日銀がいずれETFの放出に転じたら相場は急落」と警戒し、市場から遠のく。日銀のETF買いは効用より、副作用が大きくなる領域に踏み込んだ。

【プロフィル】加藤隆一

 かとう・りゅういち 経済ジャーナリスト。早大卒。日本経済新聞記者、日経QUICKニュース編集委員などを経て2010年からフリー。東京都出身。

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