迫る10%

(2)財政再建へ悲願の消費増税 (2/3ページ)

 税収増と歳出削減で借金を減らす財政再建は、財務省の掲げる“使命”だ。景気に左右されず広く税金を集められる消費税を拡大し、増税で歳入が伸びれば差配できる予算が増える。政治家や官庁に、より大きな影響力を及ぼすことが可能となる。お金を握る財務省が長年、「最強官庁」と呼ばれてきたゆえんだ。

 消費税への貢献が評価される-。それを鮮明に人事で裏付けたとされるのが、平成に就任した事務次官(25人)のうち次の3人だ。

 1人目は尾崎護(まもる)(次官は4~5年)。竹下登政権が元年4月に消費税を導入した際の主税局長だ。次に小川是(ただし)(同8~9年)。消費税導入前の課長時代、似た仕組みの「売上税」構想に関わった。最後は薄井信明(同11~12年)。9年の3%から5%への増税を主税局長として指揮した。

 財務省では、予算編成を仕切る主計局長が次官に昇格するケースが多いなか、3人は税制を扱う主税畑の「上がりポスト」である国税庁長官から次官に就いた。異例の人事だが、それだけ貢献度合いが評価された証拠だろう。

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 だが財務省は、本来は財政再建には増税とセットとなる歳出削減ではなく、「増税を実現するため、歳出拡大を推し進める」という“自己矛盾”も抱えた。

 8%への増税時には経済が減速したこともあり、令和元年度予算には、増税に備えた景気下支えのため「臨時・特別の措置」が2兆円超盛り込まれた。現金を使わずに買い物するキャッシュレス決済へのポイント還元策などが目玉だ。

 制度設計を取り仕切った主計局長の太田充とタッグを組んだのは、首相の安倍晋三と近く、政権の成長戦略を主導してきた経済産業省の経済産業政策局長、新原浩朗(にいはら・ひろあき)だ。ただ、「歳出に糸目をつけない“経産省的”な太田さんのやり方は、財政再建を目指す財務省の本道から外れている」との冷ややかな声が、財務省内でささやかれている。

 財務官僚はもともと歳出拡大に前向きな積極財政派の首相には嫌悪感がある。元首相の田中角栄は大蔵相(現財務相)を務めたが、首相に上り詰める直前に、「日本列島改造論」で高速道整備など交通・情報の全国的ネットワーク整備をぶち上げて積極財政政策を唱え、省内では批判的な声も強まった。

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