わが国で長らく解決ができていない問題というのはいろいろあろうが、2つ挙げろ、といわれたら、筆者は次の問題を挙げる。一つは原子力問題、もう一つが国の借金問題である。問題の大きさからいえば政府は当然として、国会議員を中心とする政治家が積極的に関心を払うべきだ、と思うのだが、彼らが現実にこれに真剣に取り組もうとしているか、というとどうもそうはみえない。そこでこれらの問題をもう少し具体的にみてみよう。(地球環境産業技術研究機構理事長・茅陽一)
原発問題タブー視も
最初は原子力の問題だ。2011年の東京電力福島第1原発の事故以来、原発の多くが運転を停止している。電力の電源比率をみると、現在は3%と極めて小さく、原発があまり動いていないことがみてとれる。
一方、パリ協定に対応して政府が掲げた30年の電源計画の内容をみると、原子力の電源比率は20~22%とあり、現状とは大きな懸隔がある。福島第1の事故以後、原発の設備に厳しい新規制基準が導入されたが、電力各社はそれを満たすべく努力をし、すでに十数基の原発が審査をクリアしている。
だが、そのすべてがただちに稼働できるわけではなく、たとえば柏崎6、7号機のように、周辺自治体の運転許可がおりないという形で停止しているものがいくつかあり、その問題をクリアすることが運転再開の前提になる。