論風

日本を揺るがす「2つの問題」 政治家は真剣な取り組みを (3/3ページ)

 そして借金状態から抜け出そうとする動きは内閣にも政党内でもあまりみえない。消費税率引き上げの話にしても、年金対策の話ばかりで、国の借金を少しでも減らす一手段としての議論は全くといってよいほど行われていない。これは筆者には不思議である。年々借金は増えており、どう考えてみても放っておいて済む問題ではないと思えるのだが。それとも、政治家にとって国の借金問題の解決策を探すことは大変ではあっても自己の票田の中の利益には直接つながらないので、彼らは関心を示さないのだろうか。

 しかし、政治家である以上、国全体にかかわる大問題の解決には当然責任もあるし、解決への道について大声をあげてその声を国政に反映させるべきではなかろうか。この原子力、財政の両問題とも国を揺るがす大問題である。選挙区の票問題を超えて、国士としてこの問題に真っ向から取り組もうとする政治家が現れてくれるべきではないか。筆者はそれを強く期待したい。

【プロフィル】茅陽一

 かや・よういち 東大工卒、同大学院修了。東大電気工学科教授、慶大教授を経て、1998年地球環境産業技術研究機構副理事長、2011年から現職。84歳。北海道出身。

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