裏側には高度な情報技術が使われている。スパンゲンバーグ氏が開発し、10年以上に及ぶ機械学習をさせたAIである「Zuse Patent Analytics」の技術に加えて、米IBMの協力によってLinuxが提唱するブロックチェーンのオープンソース「Hyperledger」を導入している。特許の探索、評価、交渉、契約、決済、各国特許庁への所有者名義書き換えなどがウェブ上で、効率的かつ安全に実行できる。パテントプール、特許を質権設定した融資などの付帯サービスも開発されており、順次追加される予定である。
基本的機能の利用は無料だ。IPweはどこで収益を上げるのか。それは実際の特許取引に掛かる手数料だ。IPweを使うことで削減できたコストの一定割合を徴収対象とする方式もある。つまり、利用者がサービスを使って利益を得たときのみ、収益を得る仕組みになっている。
米インテレクチュアルベンチャーズ出身の知財コンサルタントで、IPweの日本でのマーケティングを担当する渡邉聡氏は「世界の特許ライセンス額は年1800億ドル(約19兆4700億円)で、活用されているのは世界の特許のわずか2%。IPweの可能性は特許取引市場の可能性、すなわち、企業の特許資産活用の可能性だといえる」と語った。(知財情報&戦略システム 中岡浩)