市場の未来~豊洲移転1年~(下)

「築地も守り、豊洲も生かせるのか」 揺らぐ両立、稼ぎ頭はどこに (1/2ページ)

 うまく肘を使って包丁を引き、マグロの柵(さく)をさばいてみせた。「魚がもっと好きになった」。でき上がったちらしずしの丼を手に持ち、東京都江戸川区の小学4年、森田遥香(はるか)さん(10)はにっこりほほ笑んだ。サーモンが好物といい、母親の恵子さん(42)は「魚を使った献立をもっと取り入れていこうと思いました」と満足した様子だった。

 豊洲市場(江東区)開場1周年イベントが催された今月5日の土曜日。市場の管理棟では、仲卸業者らの指導のもと、親子が魚を調理して、ちらしずしを作る実習が行われた。

 屋外の会場では、東京海洋大学名誉博士でタレントのさかなクンによるトークショーもあり、家族連れらが大勢訪れた。ここは、1年前には飲食店や温泉などが入る「千客万来施設」が整備されるはずだった場所だ。築地市場(中央区)の豊洲への移転が遅れた影響で、施設のオープンは令和5(2023)年に延期されている。

 イベントで挨拶した江東区の山崎孝明区長は「いろいろすったもんだがあった。活気ある市場として発展させる。千客万来施設ができるまで何とかつないで、豊洲が愛される市場になるように」と願う。

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 「築地は守る、豊洲は生かす」。平成29年6月、東京都の小池百合子知事は、こう表明した。しかし、31年1月の方針では、当初示していた築地の「食のテーマパーク」という文言が抜け落ち、都議会では「方針が変わったのでは」と厳しい追及を受けている。

 小池知事は「築地に食文化は確実にあった。それを大切にする考え方は変わっていない」と強調するものの、変節したと受け取られても仕方がない。「食」としての築地が後退した背景には、豊洲の千客万来施設と競合し業者が反発していることや、豊洲の市場関係者も「築地の『食』と豊洲は両立しない」と抗議しているためだ。

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