手軽な愛国
慰安婦問題をめぐる集会を取材した際、20代の男性は、日本製ではなく、韓国製の文具を買うなど「ちょっとした不買を率先してやっている」と誇らしげに語っていた。
日本人を敵視しているわけではなく、慰安婦問題などで解決と謝罪を求める韓国民の「メッセージをあくまで安倍晋三政権に伝えるためだ」とも強調した。
8月下旬に公表された世論調査で、輸出管理厳格化が緩和されても日本製品の購入自粛を続けるとの回答が71.8%に上った。別の調査では、20代の56.4%が、日本が措置を撤回しても侵略への謝罪と賠償をするまで、あるいはその後も不買を続けると答えている。
中央日報はコラムで、メディアが使うカメラのほぼ100%が日本製であったり、マンションのエレベーターが三菱製でも住民らが意に介さなかったりすることを例に「不買運動は衣類やビール、化粧品など代替可能品がある消費財に限られている」として、恣意(しい)的に行われている不買運動の矛盾点を指摘している。
それでも不買運動は、輸出管理措置への対抗という枠を超えて持続する様相を見せている。
その結果、日本製品の販売や日本旅行にかかわる韓国人を真っ先に苦しめるという副作用を生んでいる。日本路線を経営の柱にしてきた韓国の格安航空会社(LCC)への影響は深刻だ。7~9月の営業利益が昨年同期比で80%以上減る見通しの会社があるほか、別のLCCでは10~12月期から社員の無給休職を実施。「生存を心配しなければならない境遇だ」と報じられている。
半面、中央日報は、日本からの輸入額から換算して、不買運動が日本の対韓輸出に及ぼした影響はわずか0.2~0.8%と分析している。不買運動は、安倍政権にメッセージを伝える正当な手段とは言い難い。
韓国で続く日本製品の不買運動は「親日は絶対悪だ」と教え、日本擁護への後ろめたさを植え付ける一方、「反親日」的行為を手放しで評価する韓国ナショナリズムのひずみを端的に示しているといえそうだ。