高論卓説

中東で高まる露の影響力 プーチン氏、サウジと多分野で関係強化 (1/2ページ)

 中東におけるロシアの影響力が拡大しつつある。

 特に世界の中東の専門家を驚かせたのが、ロシアのプーチン大統領の来訪時のサウジアラビア政府の歓待ぶりであった。実際、今月14日に首都リヤド入りしたプーチン大統領は、21発の礼砲を含む歓迎式典による丁重な出迎えを受けることとなった。(畑中美樹)

 その後、プーチン大統領と会談したサルマン国王は、「サウジは、ロシアが地域と世界で果たす積極的な役割を価値あるものと見なし、安保・安定・平和の樹立、過激主義およびテロとの戦い、経済成長の促進を共に図っていくことを期待する。多くの協定、特にエネルギー分野での協定で樹立される両国間の合弁投資や貿易機会は、両国および両国民に重要な前向きな成果をもたらそう」と語り、政治・経済両面でのロシアとの関係拡大に期待を表明していた。

 他方、プーチン大統領も、「サウジが世界経済の利益を守る上で果たしている重要な役割を称賛する。サウジの参画なくして地域の諸問題の維持可能な発展の確保は難しい」と述べて、サウジが世界経済や地域政治などで果たす重要性を指摘していた。

 なお、両国は両首脳の会談後、石油・その他エネルギー、宇宙・衛星航法、司法、保健・医療、税務管理、鉱物資源、観光、航空、先端技術、農業、文化協力、貿易関係強化、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど一部非OPEC諸国(通称OPECプラス)の協力強化など、金額にして数十億ドルに達する合計20件もの協定に調印している。

 さらにムハンマド皇太子は、両国のビジネス・金融関係の高位者が多数参加した新サウジ・ロシア経済委員会の初会合において、プーチン大統領と共同議長を務めていた。またアブドルアジズ王子・エネルギー相は、OPECプラス協力強化協定の調印式で、「本協定は両国の協力強化と石油情勢の安定性の向上を目指している。両国は、サウジ・ロシア合同委員会で、わが国の『ビジョン2030』改革計画の戦略的目標とロシアの戦略開発計画とを共同で調和させつつある」と述べて、サウジとロシアが石油・経済の両面で協力関係をますます進めつつある点を強調していた。

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