海外情勢

トランプ米大統領の弾劾調査で共和党が固執する陰謀説 陰で笑うのは誰なのか (1/2ページ)

 【アメリカを読む】米下院委員会は11月、トランプ米大統領が政敵である民主党のバイデン前副大統領に関連する調査をウクライナ政府に求めたとされる疑惑をめぐって相次いで公聴会を開催した。米・ウクライナ首脳会談の開催や対ウクライナ軍事支援が調査の「見返り」だったかどうかが焦点だったが、与党・共和党は本筋から離れて民主党に絡む別の「疑惑」に固執した。一部保守系メディアなどで取り沙汰され、一般には根拠のない「陰謀説」として片付けられているものだが、その中身、出所は…。

(ワシントン 住井亨介) 

 ウクライナ疑惑のそもそもの発端は、7月25日にトランプ氏がウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、バイデン氏とその息子ハンター氏をめぐる調査を依頼したことだった。

 その根拠となっているのが、トランプ氏や共和党などが主張する「バイデン氏の陰謀」説だ。

 バイデン氏は副大統領在職時、汚職対策に消極的だったウクライナのショーキン検事総長(当時)に解任圧力をかけた。陰謀説によれば、ショーキン検事総長はハンター氏が役員を務めていたウクライナのガス会社をめぐる汚職事件を捜査していたことから、バイデン氏の解任圧力は「ハンター氏の不正を隠すためのものだった」とされている。

 だが、米CNNなどによると、事件はハンター氏が役員に就任するよりも前のもので、捜査もショーキン検事総長が解任される2年前に休眠状態となっていた。また、検事総長解任はバイデン氏だけでなく欧米諸国が一致して求めていたものであり、バイデン氏からの圧力と捜査中止を結びつける証拠はない。

 陰謀説はまだある。トランプ氏が当選した2016年の大統領選に関わるものだ。

 同大統領選では、ロシアが民主党のクリントン陣営にサイバー攻撃を仕掛けるなどして干渉した。そこにトランプ陣営との共謀があったのではないかとする「ロシア疑惑」を調査した特別検察官や米情報機関がまとめた報告書でも、ロシアによる犯行と結論付けられている。

 ところが、陰謀説では「民主党を利するためにウクライナが干渉した」とのストーリーにすり替わり、被害を受けた民主党全国委員会(DNC)のサーバーをロシア疑惑の捜査から守るためにウクライナ政府が隠した-となる。

 トランプ氏はゼレンスキー氏との電話会談でこのことにも言及。DNCの依頼を受けて対応に当たったサイバーセキュリティー会社に疑いを向けた。

 だが、米ニュースサイト「ビジネス・インサイダー」によると、装置としてのサーバーはそもそも存在しておらず、ウクライナ政府が隠匿した証拠は当然ない。セキュリティー会社の最高経営責任者(CEO)はCNBCテレビの取材に、「正直言って、わけが分からない」と困惑を隠し切れなかった。

 陰謀説は、DNCのコンサルタントを務めるウクライナ系米国人が、ウクライナ政府と協力してトランプ氏のあら探しをしていたともするが、これも証拠はない。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus