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豚コレラ対策、ワクチンに経済リスク 消費者へ風評被害 輸入ハードル高く (1/2ページ)

 家畜伝染病「豚コレラ(CSF)」の感染拡大が止まらない。愛知、岐阜両県など中部地方から養豚の盛んな関東地方にも飛び火したうえ、17日には再び愛知県田原市の養豚場で発生した。拡大防止に向け、農林水産省は10月からワクチン接種を始めたが、事態は終息しておらず、さらなる対応強化に追われている。ワクチン接種により輸出のハードルが上がることも考えられ、今後も余波が広がる可能性がある。(飯田耕司)

 農水省は20日、豚コレラの蔓延(まんえん)防止に向け、野生イノシシ向けのワクチン入り餌を栃木県日光市の国有林に自衛隊のヘリコプターから散布した。本格的な空中散布は初めてで、江藤拓農林水産相は23日の閣議後の会見で、「安全でさらに効果的な空中散布ができるよう、データ収集することも考えている」と話した。

 また、豚へのワクチン接種については20日、発生県に隣接する茨城、栃木、千葉、東京、神奈川、新潟、京都、奈良の8都府県でも行うことを決定している。

 農水省が豚コレラの対策を矢継ぎ早に打ち出すのは、10月下旬から発生した地域でワクチン接種を開始したが、感染拡大に歯止めがかかっていないためだ。農水省幹部は「拡大防止に向けあらゆる手を尽くす」と話す。

 農水省は当初、ワクチン接種に慎重姿勢を貫いていた。豚にワクチンを使った場合、豚コレラが撲滅されていると国際機関が認定する「清浄国」への復帰に時間がかかり、輸出に支障が出かねないためだ。

 だが、7月に三重県、福井県と立て続けに豚コレラに感染した豚が見つかったうえ、養豚が盛んな関東地方で感染豚が見つかったことで、「一気にワクチン接種を実施する流れに傾いた」(農水省幹部)。また、「すでに持っている消費期限がある備蓄ワクチンを使わなかったことを、後で後悔したくないとの思いもあった」と打ち明ける。

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