国内

移住者獲得競争にも“格差” 「限界集落」対策効果上がらず (2/2ページ)

 新産業育成必要だが

 企業の地方移転に対する優遇税制もあるが、日本総合研究所の井上岳一氏は新産業育成の視点が重要と訴える。インターネットや交通網の発達により地方での起業は容易になっており「地方移転した企業に規制緩和を認め、自動運転や遠隔医療など地域の課題解決に役立つ事業展開を後押しすれば、挑戦を求める学生も集まる」と提言する。

 移住者が増えている自治体もある。90%以上が森林の岡山県西粟倉村では、スギやヒノキの加工販売を始めると、事業を知った木工作家が移住した。村が起業支援を強化し、お試しで居住できる仕組みをつくったところ、15年からの3年間で林業関係や幼児向け塾など15社が創業した。今では人口約1500人のうち移住者が1割。村の担当者は「移住者増加で人口減は緩やかになった。起業の流れを止めず、人材育成を進めたい」と意気込む。

 北海道浜中町、鹿児島県屋久島町なども近年、三大都市圏からの転入超過が目立つ。ただ「移住者獲得は競争。抜きんでた産業がなく、簡単には来てくれない」(佐賀県武雄市)と悩む自治体もあり、国土交通省は「過疎地域の中でも格差が出ている」と分析している。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus