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新型コロナ感染拡大でどうする避難所設営 自治体に迫られる対応 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自治体が災害時に開設する避難所での密集を避けるため、新たな対応に迫られている。体育館や公民館などに設営されることが多い避難所は、密閉・密集・密接の「3密」が生じやすいが、これを回避させての避難所運営は現実として難しい。政府は緊急事態宣言に伴い、自治体側に避難所の増設のほか、ホテルや旅館の活用、親戚や友人宅へ避難する「分散避難」を呼びかけるよう求めているものの、対応はこれからだ。

 「重症化のリスクがある高齢者や基礎疾患を持つ人、妊婦は必ず空間を分ける必要がある」。避難所での感染症対策について、大阪はびきの医療センター(大阪府)の橋本章司・臨床研究センター長はこう指摘する。

 新型コロナウイルスの感染者の中には無症状の人も多いことがわかっているが、こうした人が避難所に行くのは「防ぎようがない」と橋本氏。このため、避難所運営ではあらかじめ高齢者や妊婦らの専用スペースを設けるなど、少しでも感染拡大の危険性を下げる工夫をすべきだとする。

 避難所に長時間滞在すると、疲労やストレスから免疫力が下がり、感染リスクも高まるため「身に危険が迫れば即避難する姿勢は必要だが、重症化リスクが高い人は、避難所に行ったほうが安全なのか見極めることも求められる」と指摘。親戚、知人の家や車中泊など「分散避難」の検討が必要だと強調する。

 一方、「災害に巻き込まれる危険があるのに、感染を恐れて避難しないのは本末転倒だ」と指摘するのは、防災・危機管理に詳しい防災システム研究所所長で、危機管理アドバイザーの山村武彦氏。現状の避難所の運営状況では「3密」は避けようがないため、自治体側に対し「可能な限り避難先を増やし、民間施設も活用できるよう調整を進めておくべきだ」と主張する。

 実際、感染拡大は災害時の避難行動にも影響を与えることが分かっている。

 NPO法人「環境防災総合政策研究機構」(東京)が4月、避難経験がある2千人以上を対象に実施したアンケート結果(速報値)では、約75%が新型コロナウイルスの感染拡大が避難行動に「影響する」と回答した。

 そのうち「避難所に行くが、様子を見て避難先を変える」が40・7%で最も多く、次いで「マイカーなどを使って車中泊避難」が38%。「災害リスクがあっても自宅にとどまる」も15・8%あり「3密」を避けたい心理が読み取れる。

 自治体の中には、感染拡大の状況下ですでに避難所設営にあたったところもある。4月中旬、大雨により避難勧告が発令された千葉県南房総市と鴨川市。実際に避難者はいなかったが、南房総市は7カ所の避難所に消毒液やマスク、体温計を用意。鴨川市も利用者に対して保健師による検温と問診の実施などを想定し、準備した。

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