海外情勢

「中国の対応は子供じみている」 WHO総会でコロナ対応めぐり米と主導権争い (1/2ページ)

 【ワシントン=黒瀬悦成、北京=西見由章】18日始まった世界保健機関(WHO)の年次総会では、中国の習近平国家主席が巨額の資金拠出を表明し、台湾の参加に向けた議論も棚上げされた。中国が新型コロナ対応を主導しようとする思惑がにじむが、その阻止を目指す米国との対立はさらに深まりそうだ。

 トランプ米政権がWHO総会で目指すのは、中国の習近平体制がWHOを通じて新型コロナウイルスの国際的な対応に関する主導権を握るのを阻止することだ。ホワイトハウスの説明によれば、トランプ大統領が4月14日にWHOに対する資金拠出の停止を表明したのは、米国がWHOに年間4億~5億ドル規模の資金を拠出して組織の屋台骨を支えてきたにもかかわらず、WHOが米国の1割程度の拠出額にとどまる中国に「危険なほど肩入れしている」とみなしたためだ。

 肥大化した影響力

 米政権が台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を同盟・友好諸国に求めてきたのも、ウイルス対策やワクチン開発で先行しているとされる台湾の知見が国際社会で共有できるようにすると同時に、WHOを含む複数の国連機関における中国の「専横」にくさびを打ち込む狙いがあった。

 米政権による拠出金の停止表明は、WHOが中国の初動対応の誤りを隠蔽(いんぺい)する「共犯」の役割を果たした実態を追及するとともに、WHOでの中国の「肥大化した影響力」を押さえ込み、今後のウイルス危機の予防・対応を適切に遂行できるよう機構改革を促すことを図るものでもある。

 拠出金をめぐっては、政権内部や与党共和党で意見が割れているのも事実だ。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ氏に近い対中強硬派の共和党下院議員らは政権が方針転換し、金額を縮小して拠出を再開するとFOXニュースが15日に伝えたのを受け、同氏に直談判し拠出停止方針の堅持を訴えた。

 政権としては、資金拠出の再開でWHOへの影響力維持を図ったとみられるが、党内では対中圧力を緩めるべきでないとの声も強いとされ、トランプ氏は難しい選択を迫られている。

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