各国に多数派工作
一方、習氏は18日、WHO総会で自らスピーチし、20億ドルの援助や開発中のワクチンの世界への提供方針を通じて国際貢献を強調した。中国の新型コロナウイルスへの初動に対する批判の高まりが国際的な孤立につながりかねないとの危機感からだ。
中国が台湾のオブザーバー参加に反対しているのは、「一つの中国」原則を認めない蔡英文政権に圧力をかけるためだ。大国としての国際貢献を旗印に国際機関への影響力強化を図ってきた中国だが、本当の狙いは「国際ルールの制定において、より多くの中国側の主張や要素を注入する」(習氏)ことにほかならない。
中国外務省によると、15日に習氏と電話会談したハンガリーのオルバン首相は「一貫して『一つの中国』政策を堅持する」と述べ、同様に南アフリカのラマポーザ大統領も「台湾など中国の核心的利益に関わる問題では中国の立場を支持する」と言明した。ともにWHO総会を前に踏み絵を迫る中国の多数派工作で、王毅国務委員兼外相は14日、ハンガリー外相から「台湾のWHO加入を認めない」と直接的な言質も取った。
中国政府は米国が台湾参加を主張したことについて「世界的な感染防止の協力を犠牲にして政治的な私利を求めるものだ」(外務省報道官)と反発したが、その批判はそのまま中国に向けられている。
「子供じみた対応」
北京の外交筋は「国連機関の最も重要な機能は(加盟国の言動や施策に)お墨付きを与えることであり、中国はそれを最大限利用している」と指摘する。WHOのテドロス事務局長が、国際的な批判にもかかわらず、中国の初期対応を称賛し続けたことは典型的だ。
ただ実態は中国が国際社会で発言権や名声を高めているとは言い難い。台湾における新型コロナの感染状況は台湾人の問題にとどまらず、現地に自国民が居住する多くの政府の関心事でもあり、「中国の対応は子供じみている」(先の外交筋)との批判も出ている。