足元の中国経済が底入れの動きを強めていることを追い風に、主要株式指数である上海総合指数は6月末以降上値を追う動きをみせており、その後も一進一退の展開をみせるも底堅い推移が続いている。さらに、不動産価格は大都市部のみならず、一部の地方都市でも資金回帰の動きを受けて底入れする動きをみせている。不動産投資も今年初めにかけて大きく鈍化したものの、その後は底入れが進んでおり、7月は前年比2桁%(筆者試算)の伸びとなるなど勢いを増している。地方レベルでは不動産価格のバブル化を警戒して投資抑制に動いているとされる一方、過度な締め付けは景気底入れの流れに冷や水を浴びせる可能性もある。他方、不動産市場の過熱は経済格差の拡大など新たなリスクとなり得るだけに、当局にとっては難しい対応が求められる局面が続くであろう。
【プロフィル】西浜徹
にしはま・とおる 一橋大経卒。2001年国際協力銀行入行。08年第一生命経済研究所入社、15年から経済調査部主席エコノミスト。新興国や資源国のマクロ経済・政治情勢分析を担当。42歳。福岡県出身。