中国人家庭の熱心な教育姿勢は、基礎学力に表れている。18年の経済協力開発機構(OECD)による「学習到達度調査(PISA)」で中国は、次世代を担う15歳の学生が、読解力、数学的応用力、科学的応用力の全ての分野でOECD諸国を上回り、世界トップである。
中国の太陽光発電技術は、巨大な国内市場や質の高い人材供給に支えられ、国際関係が悪化しても独自に発展する可能性が高い。これは風力発電、火力発電、原子力発電の技術でも同じ状況にある。中国はエネルギー技術において国際競争力を増していくと考えた方がよい。
日本は、技術力を向上させる教育や研究開発に地道に取り組む必要はあるが、もはや中国との真っ向勝負は得策でない。日本人のきめ細やかなオペレーションに裏打ちされた省エネ、工場、オフィス、住宅の需要側エネルギーマネジメント、世界に誇る自動車産業と連携したエネルギーシステムなど、日本の文化や産業構造を反映し、中国と差別化できる技術に集中するタイミングがきている。
国内の脱石炭火力や再生可能エネルギーの拡大に目が行きがちなエネルギー技術だが、中国の現状を踏まえると国際競争の視点が不可欠である。
【プロフィル】瀧口信一郎
たきぐち・しんいちろう 京都大学理学部を経て、1993年同大大学院人間環境学研究科修了。テキサス大学MBA(エネルギーファイナンス専攻)。Jリート運用会社、エネルギーファンドなどを経て、2009年日本総合研究所入社。創発戦略センターシニアスペシャリスト。専門はエネルギー政策、エネルギー事業戦略、分散型エネルギーシステム。著書に『中国が席巻する世界エネルギー市場 リスクとチャンス』『ソーラー・デジタル・グリッド』(ともに日刊工業新聞社・共著)、『エナジー・トリプル・トランスフォーメーション』(エネルギーフォーラム・共著)など。1969年生まれ。