海外情勢

欧米主要紙に収入もたらす「中国折り込み新聞」、その脅威 (2/2ページ)

 米有力シンクタンクのハドソン研究所では、中国が海外でどのように影響力を行使するかをまとめた18年の報告書で「チャイナ・ウオッチ」について「知識がある読者は、こうした広告媒体の内容をうのみにはしないが、これが中国共産党の完全なる宣伝であることに気付かない人がいるかもしれない」などと説明。同研究所の専門家は米FOXニュース(電子版)に、「チャイナ・ウオッチ」のような媒体は、何も知らない米国人ならその内容を信じてしまうとの懸念を示したうえで「こうした広告の類いは、キャッシュが枯渇する米国のメディア企業に相当額の収入をもたらすだろう。そして、この寄生的な関係から抜け出すのは困難になるだろう」と述べました。

 とはいえ、いくら「チャイナ・ウオッチ」で自国を自画自賛しても、世界で初めて新型コロナの感染が拡大したのは武漢市とあって、新型コロナの感染拡大以降、中国に対する米国人の印象はどんどん悪化しています。

 米国の調査機関「ピュー・リサーチ・センター」が今年7月に実施した調査によると、中国を批判的に見ていた米の成人は全体の73%で、18年と比べて26ポイントも増えていました。そして、こうした中国に対する批判的な見方は、今年3月から7月の間だけでも7ポイント増加していました。新型コロナに対する中国の初動対応への反感が原因とみられており、この問題で「チャイナ・ウオッチ」は、中国側が意図した効果を発揮してはいないようです。

 欧米では、主要紙が距離を置き始めています。米国では保守系の政治ニュースサイト、ワシントン・フリー・ビーコンのように、チャイナ・デーリー社との関係を完全に断ち切るメディアも出ています。

 とはいえ、ネットの普及で苦境に立つ海外の新聞やテレビ局に資金面から影響を及ぼす中国当局の狡猾(こうかつ)な“メディア戦略”は、今後も手を替え品を替え、継続するとみられています。(岡田敏一)

【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

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