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消えゆくか?北京の「小産権房」 アジア経済研究所・任哲 (2/2ページ)

 ◆習指導部が問題視

 最大の理由は最高指導部の風向きの変化である。陝西省西安市の秦嶺(しんれい)自然保護区で1000棟以上の別荘が違法に建てられたことを、習近平指導部は何度も問題として指摘した。しかし、複雑な利権、経済的な理由から地元幹部は問題の解決を怠った。18年には党中央規律検査委員会が現地に派遣され、問題の解決に臨んだ。その結果、陝西省元党書記を含む多くの幹部が政治規律、汚職を理由に摘発されることとなった。北京市政府が大急ぎで郊外の別荘を撤去するのは、二の舞いになりたくなかったからなのである。

 もう一つの理由は、19年に修正された土地管理法にある。それまでは農村の土地を村の外に譲渡することは禁止されていたが、新しい法律では、農村の住宅用地だけは外へ譲渡することが可能となった。法律の制定に先立ち、全国の農村の土地所有権、使用目的の確定作業もほぼ完了した。小産権房は、違法に土地の使用目的を変更し取引されたので、新しい法律を実施するには厄介な存在である。そのまま放置すると、過去の違法行為を追認することになりかねないのだ。

 もっとも、北京市政府が全ての小産権房を撤去するとは思えない。別荘の場合、利害関係者は限られるので強行突破はできるが、中低層のアパート群で作られたコミュニティーになると利害関係者が多く、社会の安定を損なう大事件にエスカレートする恐れがある。このため、土地譲渡費用の追加納付や罰金などで妥協することが選択肢として残る。北京市政府が政策を徹底的に執行するのか、それとも何らかの妥協点を見いだすのか。今後の変化に注目したい。

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【プロフィル】任哲

 にん・てつ 北京大学卒業後、早稲田大学に留学、国際関係学博士。北海道大学スラブ研究センター研究員を経て2011年に日本貿易振興機構(ジェトロ)・アジア経済研究所に入所。専門分野は現代中国政治。著書に『中国の都市化』『中国の土地政治』ほか。中国吉林省出身。

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