このように、同市ではデジタル技術が社会に定着することでさらなるスマートシティー化が進んでいる。市業務のオンライン化も急速に進み、20年末現在で政府が提供するサービスのオンライン利用可能率は97%に達するなど、デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速している。
日常生活にも波及
民間事業者も巻き込んだITとリアルの融合も進み、スマートシティーにおける市民生活の一歩先を示しうる事例となっている。市内では昨年9月、地元のスタートアップ企業である智恵新倉購が4800平方メートルのショッピングモールをオープン。ここで売られる商品は全てIoT(モノのインターネット)でトラッキングされており、消費者は商品の産地や物流経路を追跡して安心・安全に買い物ができる。
デジタル化は農業生産にも及び、植物工場に関する技術開発やクラウドサービスを活用した農業データの分析・活用も始まっている。既に120を超える市内農家・協同組合がこうしたクラウドサービスを活用しているという。
中国において、デジタルを活用した実生活の利便性向上は、既に当たり前に行われつつある。農業を含めた商品の生産工程でさらなるデジタル化が進めば、生産・流通・小売りがデジタルプラットフォームによって一気通貫で結合することになる。廊坊市では、こうしたプラットフォームにより農場から24時間以内にコミュニティー(社区)に野菜が届く仕組みも整いつつあり、今後も住民の利便性を高めるサービスが続々と登場することが見込まれる。
【プロフィル】丹羽健二 にわ・けんじ 2016年野村総合研究所入社。グローバルインフラコンサルティング部コンサルタント。専門はスマートシティー、エネルギー、モビリティーに関する新規事業戦略。