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中国で民営企業の両雄転落 米中経済戦争のあおり、解体の危機も

 中国の民営企業は高度成長の機関車役として存在感を高めており、いまや国内総生産(GDP)に占める比率が6割、税収に占める比率が6割、雇用に占める比率に至っては8割も占めている。その民営企業の先頭に立ってきたのがアリババグループ、華為技術(ファーウェイ)の両雄だったが、ここにきて“つるべ落とし”とも言えるほどの転落ぶりを見せている。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 アリババは、独占禁止法違反で約182億元(約3023億円)に上る過去最大の罰金を科されてしまった。出店事業者に対し、自社のプラットフォームで販売するよう圧力をかけていたというのが、その理由である。金融子会社のアント・グループも、消費者や小規模事業者向けの小口金融などが既存の金融システムを破壊するとして、組織改編を迫られている。「アリババ帝国」はいまや、解体の危機に直面している。(【「世論を操作していいのは政府だけだ」】中国共産党がアリババを追い詰めるすごい理由)

 ファーウェイは、米中経済戦争のあおりを受けて、スマートフォンの中核部品が入手できず、販売が急減している。1年前には世界でも1、2位を争っていたが、直近の調査では6位にまで転落している。国内でも小米(シャオミ)、OPPO(オッポ)、vivo(ビボ)に抜かれ、4位となってしまった。ファーウェイのもう一つの柱である第5世代(5G)移動通信システムも、米国からの激しい攻撃によって苦戦を強いられている。(【ファーウェイ急ぐ「非スマホ」】米制裁で代替、養魚場や炭鉱に活路)

 両雄転落の直接の原因は異なっているが、背景には共通項がある。つまり、党・政府との結び付きである。アリババは、党・政府からの干渉を嫌ってさらなる業務拡大を図ったために、しっぺ返しを食らった。ファーウェイは独自の発展をしてきたが、党・政府からの要請を断り切れず、結び付きを強めたがために、米国からの攻撃の標的とされてしまった。

 民営企業がここまで発展したのは、国有企業と違って自主裁量の余地が大きく、市場最優先で経営を進められたからだ。巨大化すれば、以前のようにやりたい放題はできない。それでも、党・政府が過度に介入し、管理を強めすぎれば、本来の活力がそがれてしまう。影響は両雄だけにとどまらず、他の民営企業にも及んでしまう。

 民営企業はIT分野の技術革新の担い手であっただけに、その衰退は党・政府が掲げる科学技術立国の遠大な青写真にも黄信号を灯してしまう。どうすれば国家と民営企業が適切な関係を保てるか、よくよく考え直してみなければなるまい。

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