【クルマ人】フル充電で351キロ、技術積み重ねで達成 シムドライブ清水社長
2012.4.1 14:30更新
電気自動車(EV)ベンチャーのシムドライブ(川崎市幸区)が3月に完成させた新しい試作車「SIM-WIL(シムウィル)は、1回の充電での走行距離が351キロメートルと世界最高レベルを誇る。走行性能も、昨年3月に発表した試作車「SIM-LEI(シムレイ)」を凌駕する。「最高のEVができた」という清水浩社長に、今後の事業展開などについて聞いた。
「車輪のなかに駆動モーターを組み込んだ『インホイールモーター』と、床下のフレーム構造のなかにリチウムイオン電池を搭載する『コンポーネントビルトイン式フレーム』という2つの独自技術を基本にしていることは、第1弾のシムレイと変わりはない。走行距離は、実際の走行に近いJC08モードで測定し、シムレイより約3割伸び、EVの最低限必要とされる300キロ超をついに達成できた」
「走行距離との直接的な関係が大きい電池容量をシムレイに比べて約4割増の35・1キロワット時に拡大した。シムレイでは東芝製の電池を使用したが、今回はパナソニック製の電池を使用している。
インホイールモーターも、電力の使用効率を高めた。さらに、上部車体に「モノコックスチールスペースフレーム」という新構造を採用したことで、シムレイよりも49キログラム軽い360キログラムに軽量化したことも大きい。
新構造は、鋼管内部に高圧を注入して、複雑な形状を一体成形できる。シムレイで採用したモノコックボディよりも軽量で剛性が高く、部品点数も削減できた。こうした多くの技術の積み上げで、ハードルを克服した」
「ボディの大きさは排気量1300~1500ccクラスの乗用車と同じくらいだが、車室は高級セダンに匹敵するほど大きい。電池の置き場所などに左右されないコンポーネントビルトイン式フレームの良さを最大限に生かし、車室を可能な限り広くした。
また、インホイールモーターの構造などを見直し、シムレイで課題だったトルクリップル(初動時の回転ムラによる振動)を減少させるなどで、時速100キロ到達が5・4秒という中級レベルのスポーツカーに匹敵する加速性能も実現した」
「第3弾の開発には、国内外から26社が参加している。シムウィルの後継車となるべき新EVは、『ハイパフォーマンスカー』をキーワードにした。単に加速など性能がいいということではなく、環境に優しく、エネルギー問題の解決に役立つという意味を込めている」
「東日本大震災を契機に、電力供給源としてのEVの役割が注目されるようになった。第3弾では、これまでの駆動系、シャシー、ボディー、デザインの4つのワーキンググループに、『スマートトランスポーテーション』というグルを新たに加える。『スマートハウス』や『スマートグリッド』、『スマートシティ』との連携で、EVからのエネルギー供給を可能にする仕組みの基本的な考え方を整理し、実現を目指す。
積水ハウスや三井不動産、三菱電機が初めて参加したのも、EVと住宅や街、送電網などとの連携を踏まえた新たな価値創造の試みに共感してくれたからにほかならない」