【クルマ人】EVに絶好!高地駆け上がるヒルクライム 三菱自の増岡氏参戦
2012.4.8 07:00更新
毎年7月に米コロラド州で開催される「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に、三菱自動車がEVで初出場する。米インディ500に次ぐ世界で2番目の歴史を持つ伝統のレース。パリ・ダカール(パリダカ)ラリーで2002、03年に総合優勝を果たした商品戦略本部の増岡浩・上級エキスパートがハンドルを握る。プロジェクトを中心になって進める増岡氏に参戦の狙いなどを聞いた。
--三菱自としては、2009年にダカールラリーから撤退して以来、3年ぶりの国際レースとなるが
「パリダカなどでの実績を考えると、ラリーのDNAを残すためにも、何らかのレース活動が必要だと私自身も考えていたし、多くの社員にもその思いがあった。(益子修)社長も、三菱の今後の中心事業となるEVやプラグインハイブリッド車(PHV)のPRを考えてほしいと言われていた」
--なぜパイクスピークを選んだのか
「パイクスピークは、標高2862メートルから4301メートルの山頂までの20キロを一気に駆け上がるレースだ。ほとんどが富士山山頂よりも高い空気の薄い場所を走る。そのため、ガソリンエンジン車では、うまく燃焼できず、パワーが相当落ちる。3割ぐらいにダウンするともいわれている。その点、モーター駆動のEVには、有利だ。ガソリン車が山頂に近づけば近づくほどパワーが落ちるのに対して、EVならスタートからゴールまで同じパワーで走れる。性能をアピールするには絶好のレースだ。コーナーが150以上あり、直線のスピードよりも、コーナーの立ち上がりの加速が重要という点でもEV向きだ。EVは、1回の充電での走行距離が制限されるので、20キロという距離はちょうどよい」
--7月のレースに向けた準備は
「本当は、昨年のレースからの参戦を検討していた。しかし、参戦を表明しようかという直前に、東日本大震災が発生し、それどころではないということもあって、延期した。昨年のレースを観戦して、いろいろ調査もした。実際にレンタカーを借りて、コースを何度も試走している。現在は、レース車の完成を急いでいる」
--どういったマシンに仕上げるのか
「量販モデルの『i-MiEV(アイミーブ)』をベースにしている。ただ、レギュレーションで義務付けられているパイプフレームを装着したり、コーナリング性能を高めるため、車幅を広げたりしている。モーターは明電舎、電池はGSユアサと三菱自動車、三菱商事の合弁からと、アイミーブと同じものを使っている。量産型はモーターを1つ使った後輪の2輪駆動だが、レース車は3個のモーターを使って4輪駆動にする。前輪は左右のモーターの回転を変えることができるようにし、コーナーリング性能をアップさせた。難しい制御技術が必要になるが、今後の量産EVに応用できる」
--今年は、このレースにトヨタ自動車もEVで参戦する
「パイクスピークの総合部門で何度も優勝している田嶋伸博さんも、今年はEVに乗り換える。EVの代表的なレースになろうとしているので、今後も有力チームやドライバーが続々参戦してくるだろう。EVクラスでの優勝を目指すが、いきなり1年目でというのはどうかかなと思っている。やはりレースでは経験がものをいうので、会社には3年やらしてもらって、段階を踏んで優勝を目指していきたい」
--自身にとっても3年ぶりのレースになる
「三菱で最後のダカールラリーとなった09年は、初日のトラブルでリタイアという悔しい思いをした。今は、新車テストや、テストドライバーの育成を担当している。これまでも安全に走れるクルマづくりや運転を心がけてきた。今回も同じような考え方で取り組んでいけば、いい成績が出せるだろう」