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ソニー復活なるか、モバイル事業で反撃 強敵アップルとサムスンに挑戦
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ソニーの新型タブレット端末「エクスペリアタブレットS」 ソニーは4日、スマートフォン(高機能携帯電話)、タブレット端末、パソコンの3つを合計したモバイル事業の2014年度の売上高を、11年度比で約6割増にあたる1兆8000億円に引き上げる計画を示した。2月に完全子会社化した携帯電話子会社との連携を強化し、ブランドやアプリ(応用ソフト)を統一するほか、ソニー製品同士をネットワークさせる独自色の強い楽しみ方を提案する。成長が見込める同事業でのシェア拡大をてこに業績回復を目指す方針で、先行する米アップルと韓国サムスン電子に挑む。
モバイル事業などを担当する鈴木国正執行役が同日、フジサンケイビジネスアイなどとのインタビューで明らかにした。
同日発表したタブレット端末の新製品は名称を「ソニータブレット」から「エクスペリアタブレット」に改め、ブランドをスマホと統一した。タブレットやスマホ、パソコンで音楽や動画、写真などを楽しむ際のアプリも統一。ソニー製品同士の連携を強め、顧客を囲い込む戦略だ。
スマホとタブレットの基本ソフト(OS)は、米グーグルの「アンドロイド」を搭載。アンドロイド搭載のスマホなどをめぐり、アップルとサムスンが各国で訴訟合戦を繰り広げているが、鈴木執行役は「今のところ影響はなく、(ウィンドウズなど)他のOSも考えていない」と述べた。
ソニーはスウェーデンの通信機器大手エリクソンと折半出資の携帯電話子会社「ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ」を01年に設立し、同事業を展開していた。
だが、スマホで他の製品との連携を図る際、開発段階でエリクソンとの調整が必要となり、ライバルに後れを取ることが目立った。
このため意思決定の迅速化を目指し、今年2月、エリクソンの保有株を10億5000万ユーロ(約1030億円)で買収し、完全子会社化した。
スマホの13年3月期の販売計画については、8月2日の決算発表時に前期比51%増の3400万台と、従来計画を70万台上乗せしている。
米調査会社のIDCによれば、11年のスマホの世界シェアはサムスンが19.1%、アップルが18.8%でトップを争う一方、ソニーは4%程度に過ぎない。スマホは今や家電の主役といえ、シェア拡大は喫緊の課題。テレビに依存していた経営体質からの脱却を急ぎ、ブランド力の復活を目指す。