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iPhone5、au版が通信速度優勢 LTE捕捉状態でも上回る

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iPhone5、au版が通信速度優勢 LTE捕捉状態でも上回る

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「iPhone5」発売開始を祝うイベントでポーズをとるKDDIの田中孝司社長(左)とタレントの剛力彩芽  キャリア・地域別速度比較

 米アップルが9月に市場投入した新型高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)5」。KDDI(au)とソフトバンクが販売でしのぎを削っているが、通信速度はau版が優勢なことが、調査会社のMMD研究所の調べでわかった。高速データ通信規格「LTE」の捕捉状態でもauが上回った。

 MMD研究所が9月27日~10月2日に、全国主要都市(9都市39地域)で実施した「iPhone5のキャリア・地域別速度比較調査」によると、スピードテストではau版のダウンロード平均が毎秒13.44メガビットだったのに対し、ソフトバンク版は同9.56メガビットだった。決め手はLTEの捕捉状況と通信の安定度で、39カ所の調査地域のうち、au版は36カ所でLTEをキャッチしたが、ソフトバンク版は25カ所だった。

 LTEが入る調査地点に限定した場合の平均ダウンロードは、au版が同14.16メガビットで、ソフトバンク版が12.11メガビットと通信速度に差が出た。

 通信速度で劣勢のソフトバンクは、今後、基地局の整備を急ぎ、au追撃態勢を整える。その核となるのが今月に買収したイー・アクセスが保有する設備だが、「基地局はフィールドに合った配置をすることも含めて調整をする必要がある」と、携帯・ITジャーナリストの法林岳之氏は指摘する。

 イー・アクセスが展開する通信サービス「イー・モバイル」は、1.7ギガ(1ギガは10億)ヘルツ帯のLTEと3Gネットワークを持っている。このうち、iPhone5に対応するのはLTEのみで、ソフトバンクとイー・アクセスのLTE基地局は重複エリアも多く基地局間の距離が近いと電波が干渉する恐れもある。

 ネットワーク環境は、基地局の数だけでなく、基地局間の干渉を抑えるための設置技術や、複数の周波数を組み合わせて通信品質を向上させるマルチバンド運用など、キャリア独自の緻密なネットワーク設計が重要になってくる。

 法林氏は、「auはiPhone5のサービス開始にあたりこれまでほとんど使っていなかった周波数帯にLTEを導入したので、都内、特に山手線の内側でも余裕があるが、ソフトバンクは相当混雑している。また、auはピコセルと呼ばれる小さな基地局も整備して基地局間の受け渡しもスムーズ」と話す。

 さらに、ソフトバンクがイー・アクセスのLTEを使うには、ソフトバンクのネットワークと接続する必要があり、「ハンドオーバー(基地局の切り替え)を含めて違う通信会社のネットワークをつなぎあわせるので、調整にも時間がかかり利用できるようになるのは数カ月かかる」(法林氏)ため、早くても来春以降になりそうだ。

 ネットワーク品質や速度強化は、ユーザーには重要なポイント。KDDIはソフトバンクよりも以前から緻密なネットワークを構築しており、通信会社としての設備力や技術ノウハウという点からも、iPhone5はauの方が優位といえそうだ。

 秋からは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクともにLTE搭載携帯端末の発売を控えており、携帯電話会社のサービス品質競争の舞台が、LTEにシフトしていくことは間違いない。各社のネットワーク戦略にますます注目が集まる。

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